こんにちは、ウマたんです。
このAI時代にめちゃくちゃ稼いでる海外開発者にフォーカスするこのニュースレター。
今回紹介するのは「Dominic Zijlstra(ドミニク・ザイルストラ)」氏!
オランダ出身なのだが、おいおいどんな人生やねんってくらい色んな国で色んなことを経験しながら最終的にプロダクト開発の世界にたどり着いた異色の経歴の持ち主。
実は、オランダ出身で成功している天才個人開発者は多い。
あのレジェント開発者「ピーター・レベルズ」や画像AIプロダクトで大金を稼ぐ「ダニー・ポズマ」もオランダ出身。
✈️AIだけで3時間でゲームを作り20日で月1300万円の収益まで成長させた天才Pieter levels(ピーターレベルズ)氏 |
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たった1人で様々なAIプロダクトを開発して年間5億円近く稼ぐ起業家「Danny Postma(ダニー・ポズマ)」氏 |
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ドミニク氏もご多分に漏れず天才。彼は、AIの波に乗って、2023年に開発したAIプロダクトをたった2年で年間200万ドル(3億円)の収益まで成長させた。
そんな彼のストーリーとプロダクト開発秘話に迫っていきたい。
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彼はオランダの田舎で育った。
高校卒業後は「より大きな仕事がしたい!」と思い、工業の中心であるドイツへ移住。ドイツの大学に進学し、物理学と工学を学ぶ。
そして今度は交換留学でスウェーデンに行き、様々な国の人たちと交流。
そんな刺激的な日々を過ごす留学の終盤にブラジル出身の女性と運命的な出会いをはたす。
なんとドミニク氏は、彼女を追ってそのままブラジルへ。
最終的にブラジルの大学院を卒業。いやいや、すごい学生時代だなと思う。
しかし、彼のグローバルな人生はここで終わらない。
大学院卒業後ヨーロッパに戻り、ブラジルの彼女とは別れることに。
そして続いては中国出身の女性と出会いそのまま結婚。現在は中国に住んでいるという。
僕自身色んな国を旅して現在は海外に住んでいるが、ここまで縦横無尽に色んな国で暮らした経験を持っている人は稀だと思う。
さて、そんなこんなで色んな国で生活をしてきた彼だが、この経験自体が一つ目のプロダクトの成功につながることになる。
さて、プロダクト開発のストーリーに移る前に彼のキャリアについても軽く触れておこう。
彼は大学・大学院と物理工学を研究していたため、その流れで巨大航空機メーカー「エアバス」の宇宙技術者として働くことになる。
しかし、働く中で次第に宇宙工学という狭い範囲でキャリアを閉じるのは嫌だなと思うようになる。
こうして彼は、これまで宇宙工学の中で培ってきた数学力を武器にフィンテック企業にデータサイエンティストとして転職するのだ。
とはいえ、データサイエンスの知識が元々あったわけではない。
彼はデータサイエンティストになるために独学でデータサイエンスを学んだ。以下のXスレッドにその方法は詳しくまとめられている👇️
How I taught myself data science and got a job in London fintech
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Dominic Zy 🐐 @DominicZijlstra
(and how you can do the same - but quicker!)👇— Dominic Zy 🐐 (@DominicZijlstra) February 11, 2022
このスレッドはデータサイエンティストになりたい人はもちろん、未経験からテック系の職種に転職したい人にとってかなり参考になるので、興味のある方は是非チェックしてみてほしい。
彼の場合、まずUdemyにてデータサイエンスのコースを受講。
Udemyのコースで一通りのスキルを身に着けた後、より深掘りしたいジャンルを調べて、それらをフラッシュカードを使って覚えた。
データサイエンスの範囲はめちゃくちゃ広範で最初からガッツリ学ぼうとすると挫折してしまう。
統計学入門を謳った本が全然入門じゃない!なんてこともしばしば。
だからこそ、ドミニク氏みたいな学び方はめちゃくちゃオススメ。一旦ザッとUdemyなどを使って網羅的に学び基本を抑える。
その後、より深めたい領域は本や論文などで深めれば良い。
さて、彼はこの流れで知識をインプットした後、早速実践に移った。
とはいえデータサイエンスの実践練習は、企業に属していない状態ではなかなか難しい。
さて、彼はどうしたか?彼は株価の予測を行う機械学習モデルを作ることに挑戦したのだ。
もしこれが上手くいけば、それだけでお金持ちになれるし、上手くいかなくても学びを得ることができ、間違いなく転職に有利になる!
結果的に、お金を稼げるレベルの機械学習モデルを構築することはできなかったが、この経験のおかげでフィンテック企業からお声がかかるのだ。
こうして晴れてフィンテック企業にてデータサイエンティストとして働くことになる。
ちなみに、彼は就職した後に、「現実のデータサイエンティストの仕事」が「今まで学んできたデータサイエンス」と大きく違いビックリしたという👇️
However.. It turned out real-world data science is quite different from what I had studied!
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Dominic Zy 🐐 @DominicZijlstra
I learned about databases, data cleaning, software engineering..
But what surprised me most was how much I was communicating my findings to business stakeholders (good plots are key!)— Dominic Zy 🐐 (@DominicZijlstra) February 11, 2022
データサイエンティストは、機械学習モデルを作る仕事と思われている節があるが、そんなの仕事の一部。
データベース設計やデータ加工はもちろんのこと、ソフトウェア開発なども担当しないといけないこともある。
またビジネスサイドとのコミュニケーションにもめちゃくちゃ時間を使う。
PCの前で数字とにらめっこしながらAIモデルを作るだけの仕事ではないのだ。
ちなみに僕自身データサイエンティストの出身でデータサイエンティストになりたい人には少なからずアドバイスできると思うのでお困りごとがあれば連絡ください。宣伝ですが、データサイエンスをまるっと月1280円から学べるサービス「スタアカ」を運営してます。
さて、データサイエンティストとして満足の行く仕事をこなす日々を過ごしていたドミニク氏。
しかし、プライベートでは中国人の彼女との「文化の違い」「言語の違い」に四苦八苦していた。
今まで様々な国で暮らし言語も習得してきたドミニク氏だったが、今回ばかりは文化も言語も違いすぎた。
特に彼女の両親に会っても全くコミュニケーションが取れないのが苦痛だったという。
そこで必死に中国語を勉強するもなかなか上手くいかない。しかし2年間試行錯誤する中で独自のメソッドを生み出し、とうとう中国語をマスターすることに成功する。
そして、このメソッドを使って語学を教えるために中国で教師になろうとしたがそのタイミングでCovid-19が発生。
その夢は断念せざるを得なくなった。
であれば、世界中の人にオンラインでこのメソッドを届けよう!とアプリを作ることにするのだ。
それが1本目のプロダクト「Traverse」なのである。
学んだことをノートに書いて、それをマインドマップで繋ぎつつ、覚えるべき要点はフラッシュカードにできる。
ドミニク氏自身の学習方法を詰め込んだアプリになっている。
このプロダクトはコロナ禍の巣ごもり需要でそこそこヒット。
このヒットを受けて2021年2月、とうとうプロダクト開発にフルコミットするためにドミニク氏は会社を辞める。
本格的にプロダクト開発の世界へ入っていくのだ。
そうこうしているうちに2022年11月、ChatGPTが登場。多くの人がChatGPTの精度に驚いた。
彼もその1人。
彼はChatGPTを触るうちに、「これはビジネスを根本から変えるぞ」と思った。
周りではAIを使ったビジネスが次々と立ち上がる。彼は焦りながらAIを使った色んなビジネスに手を出した。
ニュースレターをやったり、プロンプトデータベースを作ったり、クライアント向けにAIチャットボットを作ったり。
少し収益が出るものもあったが、大きなブレークスルーは起きなかった。
そんな中、既存プロダクトの「Traverse」をよりスケールさせるためにSEOに力を入れることになる。
そして、SEOをどうにかAIを使って自動化できないか?と試行錯誤している中でSEOコンテンツ自動作成ツールのアイデアに至る。
しかし、当時は既にAIを使ったSEOライティングツールは多く登場していた。
そんなツール群と差別化を図るためにどうすればよいか?
ここから先は、彼がローンチから2年でARR3億円を達成したAI×SEOツールの秘密に迫っていく。
他のツール群と差別化を図るために取り入れたのが、被リンク獲得。
彼らは、従来のAI×SEOツールが得意とするキーワード戦略とコンテンツ自動生成にプラスして、被リンク獲得戦略を取り入れたのである。
SEOにおいてキーワード戦略やコンテンツ品質と同じくらい、いやそれ以上に重要なのが被リンクの獲得。
被リンクを多くもらっているコンテンツ・サイトはGoogleの検索上位に上がりやすくなる。
一昔前は、低品質のサテライトサイトを大量に生成し、そこから大量に被リンクを貼るブラックSEOが流行ったが、そのようなブラックなアプローチはGoogleのアルゴリズムアップデートで淘汰されてしまった。
とはいえ、未だに被リンクの影響は強い。自然な形でちゃんとしたWebサイトから被リンクをもらうのが非常に重要なのだ。
だからこそ多くの人が、「被リンクをくださーい」という被リンク営業を必死にやっている。
例えば今でこそ世界中で使われているデザインツール「Canva」なんかもSEOをハックして急激に成長した好事例だ。
彼らは被リンクを獲得するための営業専門部隊を持っていたりする。
それだけSEOにおける被リンクは重要なのだ。
そして、それをサポートしてくれるのがドミニク氏が開発したAI×SEOツール「Adaptify」というわけだ。
対象のサイトと相性の良い大型メディアをリストアップしてくれて、それらに対して自動で被リンク営業を送ってくれる。
このツールでは毎日被リンクの機会をスキャンしており、領域によるが、ほとんどの分野で1日1〜3件の機会を見つけることができるという。
結果的に月間で約30〜100件の営業メールを送ることになり、5〜20%の成功率を考えると、おおよそ月に1〜6件の被リンク掲載が見込めるという。
さて、「Traverse」のSEOに取り組む中で得た示唆をツールにしたドミニク氏は、このツール「Adaptify」をどのようにして広げていったのか?
彼は最初ターゲットをWebサイト運営事業者に設定していた。
そして、複数のWebサイトを運営している事業者向けに複数サイトプランを用意。
しかし、この複数サイトプランに登録してくれたのはサイト事業者ではなく代理店だった。嬉しい誤算だ。
実は、多くの事業者をクライアントに持つ代理店からの強い需要があったのだ。
そこで戦略を「代理店を獲得し、彼らがどんどんクライアントサイトを追加することでLTVを伸ばす」に完全シフト。
そこで、代理店向けに自動でピッチ資料を作ったり、定例レポーティングを作ったりしてくれる機能を追加。
どんどん代理店を獲得し契約数を伸ばしていった。
ちなみに価格は以下の通り。
真ん中のGrowthプランでは最初から3つのWebサイト枠があって899ドル。それ以降はWebサイトを追加する度に299ドルがかかる計算になっている。
そこそこの価格がするのだが、代理店相手であれば妥当だなと思う。
仮に代理店が1クライアント月100万円でSEOコンサルティングを請け負っていてそこに50万円の人件費をかけていた場合、そこにかけている工数を仮に50%削減できたのならそれだけで25万円の価値があることになる。
25万円の価値を享受するのに、たった299ドル(4万円ちょい)であればガンガン課金するだろう。
代理店相手にツールを売るというのは単価を上げるうえでかなり重要。
ちなみに以前紹介したフランス人開発者のプリン氏も、家のレイアウトをAIで出力するツールを、個人相手ではなく不動産代理店相手に販売して大きな収益をあげている👇️
IBMのデータサイエンティストをやりながら月220万円稼ぐAIプロダクトを作ったPauline Clavelloux氏 |
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さて、このツール「Adaptify」の特徴とターゲット設計については分かったが、どのように集客していったのか?
なんと彼の場合、集客には広告を用いているという。
今まで紹介してきた開発者で広告を利用している人はほとんどいなかったが、ドミニク氏の場合は広告がメインチャネル。
主にMeta広告をまわしているという。
とはいえ、特別なことはせず基本に忠実な広告運用。
流行りモノの機能などは極力使わず、実直に3段階のファネルで運用。
の3つのファネルに分けて広告を運用しているという。
ただ広告を積極的に使うべきかどうかはプロダクトとの相性によると思う。Adaptifyのように、そもそも単価が高く一度契約を獲ったらなかなか契約解除しないようなツールはLTVが高く、かなりの金額の広告費を突っ込むことができる。
広告は上手くいかなかったと言ってる開発者も多く僕自身も上手くいった試しがないので、あまりオススメはしないが、とりあえずやってみるのは大事。
例えば他に広告で上手くいったぜーって言ってるのは例えば以下の開発者。
🌍️アフリカの田舎で育った若者が年間3.5億円稼ぐアプリを構築するまでのストーリー |
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広告活用と同時に大事なのが、最初の入り口の設計。
広告を回して、いきなり高額ツールを売ろうとしてもほとんど売れないに決まってる。
大体のtoBツールが、資料請求や無料ウェビナーや無料ツール利用など、無料でできるアクションを最初のCVポイントとして設計しているはず。
Adaptifyでは、「Pitch Mode」という、SEOの導入提案を作成するAIツールを提供した。
これはかなり効果的なツールだと思う。
SEO代理店は、色んな事業者に対してWebサイトを分析しピッチ資料を作成し改善提案をする。
その改善提案に時間をかけているわけだが、それをAIツールで簡単にできたらどうだろう?
Adaptifyはこのニーズを突きにいった。仮に代理店がAdaptifyで作成したピッチ資料で契約を獲得できた場合、そのまま契約後もAdaptifyを使う。
こうしてコア機能を契約してくれてAdaptifyも代理店もハッピーというわけだ。
この手のツールは既存で他のツールを使っている場合、なかなかそこからの乗り換えは難しいが、最初のクライアントピッチの部分をしっかり握ってしまえばその新規クライアントに対してはAdaptifyを利用してくれる可能性が高い。
そして、一度Adaptifyを使って味をしめた代理店はどんどんクライアントサイトを追加しLTVが劇的に上がっていく。
こうして代理店にハマる機能を追加し、広告をまわして売上を伸ばし、ローンチしてからなんと
まで到達したのだ!
ここまでドミニク氏のストーリーを見てきた。
彼は、色んな国での暮らしを経験し、最終的に言語学習で感じた壁を解決するプロダクトを構築し、それをスケールさせるために行ったSEO戦略をツールにしてここまで伸ばしてきた。
代理店ターゲット×広告集客という、今まで紹介してきた開発者とは結構違うアプローチが参考になる。
彼は、現在Adaptifyをスモールチームで運営しているが、開発・営業・カスタマーサポートすべてにAIを活用し、AIによるリードスコアリングを構築。これだけでツールとして売れるレベルだという。
彼はAI活用に遅れを取ってはいけないと思い焦って色々手を出したが、まだまだ遅いことはないと気付いたという。
Xなどを見ていると新しいAIの情報がとめどなく登場し、遅れている気分になるが、XでのAI界隈はかなり時代の最先端を進んでいる。
まだまだAI黎明期。ポテンシャルは無限大だ。
焦ることなくAIをしっかり自分のモノにして、AI時代に生き残ろう!
そのためにも、まずAIを使って何かしらのモノを作ってみることが大事。
色んなAIの新情報に右往左往するよりも、何かAIで自分の作りたいモノ(アプリでもサイトでも音楽でも動画でも何でも)を作り、そこからお金を稼いでみる経験をしよう!
ということで今回は「Dominic Zijlstra(ドミニク・ザイルストラ)」氏にフォーカスしてきました。
このニュースレターは毎週月曜日の朝7時にお届けしています。見逃したくない場合は、ぜひ購読してください!ご購読お待ちしてます!
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それではまた来週月曜日に会いましょう!
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https://x.com/DominicZijlstra/status/1492211861974138883