海外個人開発者にフォーカスするこのニュースレター。

今回紹介するのは「Ivan Kutskir (イバン・クツケラー)」氏！

彼は無料のオンラインフォトエディターである「

なんと今ではphotopeaに月300万人ものユーザーが訪れ収益は月20万ドル（3000万円）にものぼるという。

そんな彼にフォーカスしてみていこう！

👨‍💻幼少期からパソコンに触れる日々

彼はウクライナで生まれ11歳の時にチェコに移った。

そんな彼は幼少期からコンピューターに魅了されることになる。

13歳の頃にパソコンを買ってもらいそれをいじるようになるのだ。

当時は2003年でインターネット黎明期。

それからというもの順調にインターネットの世界にのめり込んでいった彼だったが、15歳になると、とうとうフラッシュゲームを作ってフリーランスとして稼ぐようになる。

当時はフラッシュゲーム全盛期。様々なフラッシュゲームが公開され多くのユーザーが遊んでいた。

僕自身も学校のパソコンで気軽にブラウザで遊べるフラッシュゲームを楽しんでいた記憶がある。

🚀フラッシュゲームで稼ぎながらPhotopeaを開発

そんなこんなでフラッシュゲームを作りお金を稼ぎながら、彼は大学に進学する。

専攻はコンピューターサイエンス。彼らしい専攻だ。

さて、彼はフラッシュゲームの開発を大学に進学しても続けていたが、徐々にフラッシュゲームの制約に不満を持つようになる。

当時フラッシュゲームはAdobe Flashの規格に合わせて作らなくてはならず、デザイン面ではAdobe Photoshopを使わなくてはいけなかった。

ファイルはPSDファイルでAdobe Photoshopでしか開けない。

この制約に不満を持った彼はあるサービスを開発する。

フラッシュゲームを開発していく上で感じたAdobeの制約を解決するために開発したツール。

当時大学生だった彼は勉学と両立しながら開発を進めた。

開発にかかった時間は200~300時間。

当時Adobe Photoshopでしか開けなかったPSDファイルを開いて編集できるようなツールを開発した。

は様々なファイルをアップロードして編集できるツールになっており、PDFをアップロードしてテキストを編集できる優れモノだ。

💪大学卒業後も就職せずにPhotopeaに運営にコミットする

さて、大学の勉学と両立しながら開発をしてきた彼は、とうとうサービスリリースの日を迎える・・・！

忙しい合間を縫って開発してきたサービスに対する期待は大きい。

リリースの結果はどうだったか？

結果的に、多くのユーザーが使ってくれることを夢見ていたものの残念ながら誰も使ってくれない。

これはいける！と思うプロダクトを作ったからといってすぐにそれがヒットするわけではないのだ。

しかし、数日経ってあるウェブサイトにプロダクトを投稿したところ何人かが興味を持ってくれて使ってくれるようになった。

ここから彼の長いプロダクト開発の旅がはじまる。

なんと彼は日々の開発＆改善を続けながら大学卒業の日を迎え、そのまま定職につくことなくそのまま

フラッシュゲームで稼いだお金がある程度あったとは言え、それでも思い切った決断だ。

3人でルームシェアをしながら月200ドル程度で切り詰めた生活をしていたという。

ユーザーはまだまだ少なかったが、根気よく毎週様々な機能を追加していった。

には広告を付けず1円も生み出していなかったというから驚きだ。

自体の開発を趣味のように楽しんでいた。

🙆プロダクトを磨き複利の力で徐々にユーザーを伸ばす

のユーザーを伸ばしていったのか？

まず彼はRedditの様々なスレッドに

しかし、そのほとんどはスパム行為だとして削除されてしまう。

そこで別のアプローチを取ったのがRedditにおけるAMAセッションである。

AMA（Ask Me Anything）とは最近Web3業界でよく聞くワードだが、要は何でも質問を受け付けますよーという意味だ。

このAMAセッションがRedditで話題を生み、多くの人に

しかし、それでも爆発的にユーザーが増えたわけではない。

のユーザー数は毎月5%~15%ほど増加していってそれ以上に増加した月はほとんどないという。

バイラルで増やしたわけではなく着実にファンを増やしてきたのだ。

リリース当初2014年の毎日のページビュー数は50。

広告をつけはじめた2018年の毎日のページビュー数は2万。

現在の毎日のページビュー数は90万。

リリースしてから10年。まさに複利の力を思い知る。

前述の通り、彼は機能の追加を定期的におこなってきたというが、この機能追加は自分がワクワクするかどうかを基準に選んでいるというから驚きだ。

完全にマーケットインではなくてプロダクトアウトの発想。

一般的にプロダクトアウトの発想はよくないとされるが、彼はこのアプローチで開発してきたからこそ10年も続けられているのだろう。

ちなみに彼はここまでサービスが拡大した今も1人で開発を続けているという。

実は途中で2人エンジニアを雇ったが、タスクを任せてそれを管理し時に修正するのは非常に大変でストレスのかかるものだった。

このエピソードからも彼が生粋のエンジニアであることを実感する。

他人に任せて管理するよりも自分1人でやった方が早いしラクなのだ。

それではカスタマーサポートはどうか？

彼はメールを送ってきたユーザーには用意しているマニュアルのリンクを送り返すようにして、顧客対応工数を最小限に抑えているという。

は無料ツールなので、ユーザー課金型のSaaSツールと比べてカスタマーサポートにそこまで注力する必要がない。

広告マネタイズのサービスのよいところはここだ。

は順調な成長を遂げ現在は月に20万ドル（3000万円）もの金額を稼ぐプロダクトになった。

収益源は広告。無料ツールだが、月に3000万PV近くあるので広告を貼るだけで収益もすごいことになる。

そして、ここまでの金額を稼ぎながらコストはサーバー代が年600ドル、ドメイン代が年20ドルだけだという。

ちなみにVCや投資家からの投資の相談もあるらしいが、全て断っているという。

彼はお金をたくさん稼ぐよりも、自分の好きなことに没頭できる時間を大切にしている。

外部から資金調達をしてしまうと外圧で自由に動けなくなってしまう。

現代は資金調達なんてしなくても自己資金でたくさんのサービスを立ち上げられる時代。

これからの時代は、彼のように資金調達せず金銭的なプレッシャーもない状態で好きなことに没頭しながらたくさんのお金を稼ぐ人が増えていくだろう。

彼のストーリーを見ると、これまで紹介してきた開発者と割と違うイメージを持つ。

これまでの開発者は比較的お金を稼ぐために・・・というイメージが強かったが、Ivan氏は自分が好きなことを続けていたら、いつのまにかめちゃくちゃ大きくなってしまっていた・・・という感じ。

マーケティングをろくにやらずオーガニックでここまでの規模になっているのだからすごすぎる。